ビジネスの現場で、電話回線の選択が通信コストや運用効率の面から注目されているのが「光直収」です。NTTのアナログ回線を経由せず、光回線を直接利用する仕組みで、コスト削減や柔軟なプラン設計を可能にします。しかし、メリットだけでなくデメリットもあるため、導入には事前に理解しておくことが大切です。
そこでこの記事では、光直収の仕組みや従来の接続方法との違い、導入時のポイントをわかりやすく解説します。今回解説する内容を読めば、光直収に関する知識が身につきます。社内の通信環境を検討する際の参考になるため、ぜひ最後までご覧ください。
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光直収とは？
光直収は、ビジネスフォンをアダプターなどの中継機器を介さずに、光回線に直接接続して通話サービスを利用する方式です。「光」は光ファイバー回線を指し、「直収」は主装置や交換機に電話回線が直接つながることを意味しています。
従来の電話回線では、アナログ信号を変換する機器が必要でした。光直収ではその手間がなく、スムーズな通信環境を実現できます。主に法人向けに提供されており、通話コストや設備投資の削減につながる点が注目されています。
光直収の特徴
光直収の最大の特徴は、電話回線と主装置をつなぐための中継用アダプターが不要なことです。従来必要だったアダプターの設置・設定作業が不要となり、初期費用や保守コストの低減が見込まれます。
また、光ファイバーを活用することで、IP電話としての機能を持ちながら安定した音声通話が可能です。さらに、ひかり電話サービスへ切り替えることで、従来の固定電話よりも通話料を抑えられるなど、コストパフォーマンスに優れた通信手段として支持されています。
光直収の仕組み
光直収は、直収ユニットを主装置に組み込み、ひかり電話回線を直接収容できる方式です。ONU（と直収ユニットをLANケーブルでつなぎ、そのまま電話システムに組み込むことが可能です。
従来のようにオフィスゲートウェイなどのアダプター機器を挟まず、主装置がIP通信を直接処理します。そのため、信号変換のロスや設定の煩雑さを軽減できます。また、ユニットにはLANポートが備わっており、そこからルーターを経由してインターネット接続も同時に可能です。
光直収接続とOGを利用した接続の違い
光直収は、主装置に直収のための機器を搭載し、光回線から直接電話機に接続する方式です。これに対し、OG（オフィスゲートウェイ）を用いる方法では、光回線をOGに接続した後、アナログやINSの信号に変換して電話機とつなぎます。
OGはVoIPルーターの役割を果たしており、IP接続に主装置が対応していない場合、必要です。つまり、光直収は中継機器を省略できる最新の接続方法で、OGは従来設備との互換性を保つための中間機器といえます。
光直収のメリットとデメリット
光直収の採用を検討する際、仕組みや費用面だけでなく、メリットとデメリットの両面をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、代表的なメリットとデメリットをそれぞれ詳しく紹介します。
光直収のメリット
光直収には、以下の3つのメリットがあります。
- 月額費用を抑えられる
- NTTの電話加入権が必要ない
- プランやオプションが自由に選べる
それぞれ詳しく解説します。
月額費用を抑えられる
光直収サービスでは、NTT加入電話に比べて月額基本料金や通話料といった毎月の通信にかかるお金を削減することが可能です。多くの通信事業者の直収電話プランは、NTTの設定料金よりも低く抑えられています。
そのため、日常的に通話量が多い企業にとっては、年間で見ても大きなコスト削減効果が期待できます。特に複数回線を運用する法人にとっては、通信コストの見直しの第一歩として非常に有効な選択肢です。
NTTの電話加入権が必要ない
NTTの固定電話を新規で導入する際には、原則として「電話加入権（施設設置負担金）」の取得が必要です。2025年時点でその金額は税抜36,000円に設定されています。しかし、光直収は加入権が不要となり、初期導入費用を大きく抑えられます。
NTTでも加入権不要のプランは存在しますが、その場合は代わりに月額料金に費用が上乗せされるため、割高になることもあります。こうした負担を避けられる点も魅力です。
プランやオプションが自由に選べる
光直収サービスの通信事業者はNTT以外にも複数存在し、それぞれが独自の料金体系やオプションサービスを展開しています。利用者は自社に合わせて柔軟にプランを選ぶことが可能です。従来のNTT固定電話では対応できなかった割引や特典を受けられることがあります。
たとえば、ソフトバンクのおとくラインが挙げられます。おとくラインでは、同社の携帯電話との通話が24時間無料になる「ホワイトライン24」など、魅力的なオプションも利用可能です。
光直収のデメリット
光直収には、以下のようなデメリットも存在します。
- NTTの機能が使えないケースがある
- 機種によって買い替えが必要になる
- 障害時の原因が分かりづらい
それぞれ詳しく解説します。
NTTの機能が使えないケースがある
光直収では、NTTの一部電話サービスに対応していない場合があるため注意が必要です。たとえば、コレクトコールや通話中の番号調査といった特殊番号サービスは、発信できないケースがあります。
これは、NTT独自の交換設備を通さず、事業者の自社設備で運用されているためです。特殊な機能やサービスを日常的に使用している場合には、利用できる機能の範囲を事前に確認しておくことが大切です。
機種によって買い替えが必要になる
光直収の導入は、主装置にユニットを組み込める設計になっていることが必要条件となります。非対応だとユニットを実装することができず、主装置そのものを買い替えなければなりません。
この際には機器代や設置工事費が発生するため、アダプター（OG）を用いた場合と比較する必要があります。どちらがコスト面で有利かを慎重に検討しなければなりません。既存設備を生かしたい場合には、光直収が適しているかを導入前に確認してみてください。
障害時の原因が分かりづらい
光直収では、通信トラブルが発生した際に原因の特定が難しい点が課題です。たとえば、通話に不具合が出た場合、原因が通信事業者側なのか主装置などの社内機器にあるのかが即座に判断できないことがあります。
このため、復旧には電話工事業者など専門業者の対応が必要となり、その都度対応コストと時間がかかってしまいます。障害対応の迅速性を重視する場合は、サポート体制も含めて契約先を選定することが重要です。
光直収に関するよくある質問
ここでは、光直収に関するよくある質問をいくつか紹介します。
光直収を導入すると電話番号は変わる？
光直収を導入しても、現在使用している電話番号はそのまま引き継ぐことが可能です。「番号ポータビリティ制度」により、携帯電話と同様に通信事業者を変更しても番号を維持できます。
番号変更による取引先への周知や印刷物の差し替えといった手間も不要なため、導入時の不安要素の1つを解消できます。なお、一部地域や事業者によっては例外があるため、事前に確認することが大切です。
おすすめの光直収対応のビジネスフォンとは？
光直収を導入する際は、対応機種を選ぶことが非常に重要です。各メーカーからは光直収に適したビジネスフォンが複数発売されており、オフィスの規模や用途に応じた選択ができます。たとえば、NTTは拡張性に優れた「NXS-ME」や「NX2S-ME」などがあり、大規模なオフィスにも対応可能です。
IP210HやVP-2100を利用した『telelink』（アイコム製）も有名です。telelinkは、内線／外線だけでなく、一斉に連絡できるシステムです。シームレスな連絡網で、さらに効率化が図れます。
SAXAは小規模事業者向けにコンパクトで高機能な「PT1000Std」などが人気です。NECやHITACHIといった国内主要メーカーも多彩なラインナップを揃えています。導入前には対応機種かどうかを確認することが重要です。
まとめ
光直収は、初期費用やコストを抑えながら、安定した通話環境を構築できる点が魅力です。電話加入権が不要で、通信事業者によっては独自の料金プランやオプションも利用可能です。
一方で、対応していない機器では買い替えが必要になったり、一部のNTT独自機能が使えなかったりといったデメリットも存在します。導入前には、通信環境や使用中の機器との相性をしっかり確認したうえで、自社に最適な構成を検討することが重要です。
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