企業の電話環境を整えるうえで欠かせない設備として、多くのオフィスで導入されているのが「PBX（構内交換機）」です。近年はインターネット通信の普及や働き方の多様化により、レガシー型とIP型、クラウド型などPBXの種類が増えています。しかし、どれを選ぶべきか悩む企業も少なくありません。
この記事では、PBXの基本と3つの種類の特徴、主装置との違いや自社に合ったPBXを選ぶ際の判断基準を解説します。PBXに関する知識が身につき、業務で使用する電話を効率化する方法が検討できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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PBXとは
PBXとは、Private Branch eXchangeを省略した言葉です。企業や施設内の通話をまとめて管理するための「構内交換システム」を指します。外線と内線を適切に振り分ける司令塔の役割を持ち、社内外の通話をスムーズに行えるのが特徴です。
内線同士の通話はもちろん、外線への発着信の制御、別拠点との通話接続など柔軟な運用が可能です。また、転送機能やパーク保留など業務効率を高める機能も搭載されており、ビジネスに欠かせない通信基盤として利用されています。
以下の記事では、PBXを詳しく解説しています。参考になるので、併せてご覧ください。
PBXの3つの種類
PBXには、導入形態や通信方式によって大きく3つの種類が存在します。
- レガシータイプのPBX
- IPタイプのPBX
- クラウドタイプのPBX
ここでは、各種類を詳しく解説します。
レガシータイプのPBX
レガシーPBXは、専用機器を社内に設置し、アナログの電話回線を直接接続して利用する昔ながらのPBXです。インターネット通信を介さないため外部からの不正アクセスリスクが低く、音声品質が安定しています。
一方で、本体機器の購入費用や設置スペースが必要になり、保守管理も自社対応となるため導入コストは高めです。しかし、通話量の多い業種や高品質な音声が求められる業務では、堅牢で信頼度の高い通信基盤として今も多く採用されています。
IPタイプのPBX
IP-PBXは、インターネット回線を利用して音声をデータ化し、社内LANを経由して通話を制御する仕組みを持つPBXです。電話回線を新たに敷設する必要がなく、PCやスマホを内線端末として活用できるなど柔軟性の高い運用ができます。海外も含む複数拠点を一体化しやすい点も魅力の1つです。
ただし、LAN環境が整っていない場合は整備コストが増えたり、回線混雑によって音声品質が不安定になったりする場合もあります。既存のネットワークを活かして効率的に内線システムを構築したい企業に向いています。
クラウドタイプのPBX
クラウドPBXは、PBX機能をクラウド上に構築し、インターネット経由でサービスとして利用する最新型の方式です。機器の購入が不要で初期投資を大幅に抑えられるほか、運用・保守はサービス提供会社が担当するため、管理の手間がほとんどかかりません。
PCやスマホをすぐに内線端末として利用でき、リモートワークや外出先での電話対応にも柔軟に対応できます。一方、通信品質やセキュリティは事業者や回線環境に左右されるため、信頼できるサービス選びが重要です。小規模事業者やテレワーク中心の組織に最適なPBXになります。
以下の記事では、ビジネスフォンの種類を詳しく解説しています。参考になるので併せてご覧ください。
PBXと主装置の違い
PBXと主装置はいずれも外線と内線を振り分け、社内の通話を管理する役割を担いますが、利用される規模や拡張性に違いがあります。主装置は小規模オフィス向けに設計され、ビジネスフォン専用の環境で安定した内線運用が可能です。
一方、PBXはより大きな組織で使われ、パソコンやスマートフォンを内線として利用できます。また、CTI連携や複数拠点の内線統合など高度な機能を備えています。ISDN回線との併用も可能で、システムとしての柔軟性が高い点が特徴です。規模や求める機能に応じて選択肢が異なる通信基盤と言えます。
以下の記事では、ビジネスフォンの主装置を詳しく解説しています。参考になるので併せてご覧ください。
PBXの種類の選び方
適切なPBXを選択するためには、どういった点を重視するかがポイントになってきます。そこでここでは、PBX選びで重要な次の点を詳しく解説します。
- 費用
- 機能
- 安全面
- 種類
費用で選ぶ
導入費用を最優先にする場合は、初期投資を抑えられるクラウドPBXが適しています。機器購入や配線工事が不要で、利用した分だけ支払う料金体系のため、小規模事業や立ち上げ直後の企業でも導入しやすい点が魅力です。
また、運用・保守は事業者が担当するため、維持管理にかかる手間とコストを大幅に削減できます。ただし、機能の追加やカスタマイズ性は提供事業者のサービス内容に依存します。そのため、将来的な運用計画に合わせてサービスを選ばなければいけません。
機能で選ぶ
柔軟なカスタマイズ性や機能拡張のしやすさを重視するなら、IP-PBXが有力な候補となります。社内LANを活用するため、既存システムとの連携がしやすく、営業戦略や業務フローに合わせた細かな設定変更にも対応可能です。
一方で、LAN環境の整備やセキュリティ対策、機能管理をする専任担当者が必要になるなど運用面での負担はやや大きくなります。高機能を求めつつ自社でネットワーク管理ができる企業に適した選択肢です。
安全面で選ぶ
通信の安定性やセキュリティを最優先する場合は、社内に機器を設置するレガシー型PBXが最も安心できます。インターネット環境に左右されないため、外部攻撃の影響を受けにくく、音声品質も安定しやすい点が特徴です。
ただし、機器の導入費用や保守費用が高額になりやすく、故障時には交換作業や設備更新が必要です。レイアウト変更や移転時には手間もかかるため、長期的な維持管理を前提に運用できる組織に向いています。
種類で選ぶ
PBXにはレガシーPBXとIP-PBX、クラウドPBXの3つがあり、既存の設備状況や事業規模によって適した方式が変わります。レガシーPBXは社内に配線や電話機器が整っている場合に導入しやすいオンプレミス型です。
IP-PBXはレガシー型と同様に社内設置型ですが、LANを活用して機能拡張しやすい点が特徴です。一方、クラウドPBXは配線工事が不要で機器の設置も必要ありません。スタートアップ企業や短期間でシステムを整えたいケースに適しています。
PBXに関するよくある質問
ここでは、PBXに関するよくある質問をいくつか紹介します。
PBXとビジネスフォンの違いはなんですか？
PBXとビジネスフォンはどちらも外線と内線の制御を担いますが、対応できる規模や拡張性に大きな差があります。ビジネスフォンは限られた台数の電話機をアナログ接続で利用する小規模向けの仕組みで、ワンフロアや単一事業所に適しています。
一方、PBXはデジタル運用が基本で、数百〜数千台の端末管理が可能です。スマートフォンの内線化や拠点間連携など高度な機能も備え、多拠点企業やコールセンターなど大規模環境で力を発揮します。
レガシータイプのPBXとIPタイプのPBXとの違いはなんですか？
レガシーPBXは従来の電話線を用いて通話を制御するオンプレミス型で、安定性や音声品質の高さが強みです。これに対しIP-PBXは、音声をデータ化してIPネットワーク上でやりとりする方式で、社内LANやWi-Fi環境を活用できる点が特徴です。
スマートフォンを内線端末として使うことも容易で、柔軟な拡張性が求められる企業に向いています。ただし、インターネット品質に影響されやすいため、回線の安定性やセキュリティ対策が重要となります。
おすすめのPBXメーカーはどこですか？
PBXの導入を検討するなら、NEC・富士通・日立製作所・NTT東日本・NTT西日本といった大手メーカーを候補に入れるのが安心です。NECは比較的低コストで導入でき、中〜大規模オフィス向けに柔軟で機能も充実しています。
富士通は中規模企業向けにコストパフォーマンスとシステム連携力に優れ、災害対応も考慮された安定性があります。日立製作所やNTT東西は大規模拠点や多拠点展開に強く、拡張性・信頼性・バックアップ体制が整っており、安心して使えるのが特徴です。
まとめ
この記事では、PBXの基本と3つの種類の特徴、主装置との違いや自社に合ったPBXの選び方まで解説しました。
PBXはレガシー型・IP型・クラウド型の3種類があり、コスト・機能・安定性・既存設備などによって最適なシステムが異なります。小規模で導入しやすいクラウドPBXや柔軟な拡張性を持つIP-PBX、信頼性の高いレガシー型PBXと、それぞれに強みがあります。
また、メーカーによって価格帯やサポート内容も変わるため、自社の規模や将来の運用計画を踏まえて比較することが重要です。最適なPBXを選ぶことで、業務効率と通信品質の向上が期待できます。
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